インタビューに答える出野社長【右】と出野専務【左】
京都商工会議所 知恵産業推進室と洛南支部の支援先である
丸福産業株式会社(代表取締役・出野好則社長)が
京都府「知恵の経営」実践モデル企業に認証されました。
丸福産業さんは
「全社一丸となり、ものづくり支援を通じて、
お客さまの生産性向上と社員の幸せを実現し、誠実に社会貢献する」
を経営理念に掲げる「機械工具商兼ネジ商社」です。
今回は、二代目の出野好則社長と後継者の出野哲也専務に
支援した知恵産業推進室の谷口支援員が
インタビューしましたので、ご紹介させていただきます。
会社概要
【会社名】 丸福産業株式会社
【創 業】 1947年
【代表者】 代表取締役 出野 好則
【従業員数】 14名
【事業内容】 機械要素部品、鋲螺、工具全般など工業製品の卸売業
【所在地】 京都市南区東九条中札辻町38
【Webサイト】
http://www.e-marufuku.co.jp/index.html
昭和35年頃の社内風景
Q 知恵の経営報告書を作成しようと思ったきっかけは何ですか?
専務:社長から専務への事業承継を間近に控えて、
私がいわゆる“会社の棚卸”をしてみようと
社長に働きかけたのがきっかけです。
また、今までのルートセールス一辺倒から
新規開拓にも積極的に取り組むという会社の事業も転換期で、
この機会に会社の強みについて整理して
従業員と共有したいと考えたからです。
Q 御社の知恵をわかりやすく教えて下さい。
社長:私たちは、ものづくりの業界で納品業として一番求められている
“必要なものを必要な時に必要なだけ”お届けするということを
実現するためにやってきました。
そのための私たちの知恵は、
お客さま、仕入先、社員との関係を良好に保つ仕組みの存在です。
仕入先との関係を深く良くするために、
お客さまの生の声を届ける仕組みがあります。
お客さまの生の声を伝えることで仕入先に喜ばれ、
そこから新製品の開発に結びついた例もあります。
お客さまに対しては、
“セル営業方式”で担当がお客さまに張り付き、
お客さまの「前のあれをくれ」のニーズにお応えしてきました。
一見、非効率に見えるこのやり方ですが、
非効率と引き換えにお客さまに喜ばれ、
大手顧客と長年のお取引を継続してきました。
また、社員に対しては、
“やってみてあかんかったら修正”精神で
毎日の日報報告やショートミーティングの仕組みを通して
コミュニケーションを重視しています。
Q 報告書を作られて気づかれたことなどはありましたか?
専務:私は3代目で経営者としての経験も浅く、
目下の会社を取り巻く経済状況も良くないため、
どうしても会社の過去を否定しがちでした。
しかし、この報告書作成を通して、
社長や先輩の話を聞く機会が増え、
また会社について今まで以上に真剣に向き合った結果、
その考えが間違いということに気付きました。
今、会社がこうして存在しているのは、
過去の連綿と続く歴史の上にあり、
そのことをしっかりと認識したうえでこれからの新展開を
やっていかなければと強く思います。
Q 報告書をまとめていく際に注力された点はどんなところですか?
専務:技術的な話になりますが、
ビジュアルです。
これは、本当に苦手で谷口さんや岩橋先生にいろいろと教えて頂きました。
これまで、人に見せることを意識して
書類を書くことはほとんどありませんでした。
未だに難しいですが、良い勉強になりました。
Q 報告書を作成されて良かった点はありますか?
専務:先の質問とかぶりますが、
報告書の作成、発表用のパワーポイント資料の作成と
全て初めての経験ばかりで、正直しんどかったですが、
これらを経験できたことは、
今後、経営者として幾度となくやらなければならないであろう、
各種書類の作成やプレゼンテーションの場面で自信になると思います。
自社の棚卸ができたことは言うまでもありませんが。
Q 本所の支援はいかがでしたか?(経営支援員と専門家(中小企業診断士)が担当)
社長:非常に良かったです。
ここぞという時の叱咤激励は本当に励まされましたし、
また発奮の材料にもなりました。
ご支援がなければ認証はなかったと思います。
この場をお借りして、再度申し上げます。
本当にありがとうございました。
Q 今後の抱負をお願いします。
専務:今、会社は本当に岐路に立っています。
その中で小局では細かく修正を加えながら、
大局では、決してぶれずに経営者として歩んでいきたいです。
また、少しでも社員が気持ちよく働ける職場が作れたらよいなと思います。
その指針としてこの報告書を使います。
Q 最後にこれから報告書を作成される方へのメッセージをお願いします。
専務:取り組まれる方の資質によって濃淡はあると思いますが、
なかなかしんどい作業だと思います。
私にとっては、間違いなくしんどい約4か月でした。
しかし、これだけ自社と向き合う時間というのは
やはりこの位の強制力がないとなかなか取れないのではないかと思います。
感想になりますが、私にとって非常に良い経験でした。
社屋の前に集合した社員の皆さん
出野社長、出野専務ありがとうございました。
丸福産業さんの新たな展開が今後さらに楽しみですね!